計画地は相模湖から徒歩で数分の高台にある。
敷地から直接湖面は見えないが
湖まで続く小さな道すがら体験する草花や鳥のさえずりなどを通して
施主は「湖畔という広がり」を楽しんでいる。
私たちは、湖から少し離れた住宅が、こうした体験を引き継ぐことで
施主にとっての新たな湖畔を広げることができるのではないかと考えた。
具体的には、湖から続く小さな畔道を
戸内を経由し敷地奥の一段高い竹林まで延長し
家も敷地も畔道に絡め取られながら
新たな湖畔として広がるイメージである。
この道は、風景に分け入る畔道のように
大きな景色の一部でもあり、手の届く身近な広がりの一部でもある。
また、竹林の手前では屋上デッキとして膨らみ
周囲の山並みや竹林をそのなかに満々とたたえ
家の中に景色をため込む「空がめ」として
空への開き方や窓の位置、壁の高さなどを調整した。